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蛍盛衰
一泊で郷里に帰っていた。
源氏蛍で有名な土地で、家から車で4、5分のところに、観光客も来るスポットがある。
6月の10日過ぎから30日ごろまでは、ホタルがもっとも多く飛び交う時期。
今年はとりわけ多いと聞いて行ってみた。
川端に、漆黒に沈む山を背景に青い光がいくつも明滅している。
観光客の女性2人連れが「ツリーみたい」とつぶやいたあとは無言で見守る。

しかし、子供のころの狂おしいほどのホタルを見た目にはなんともさびしい。
手をのばしてひとつかみすれば、数匹のホタルが掌でホウッと光っていた。
それだけのホタルがいつしかハタといなくなり、近年になってようやく復活しつつある。
皮肉なことに、減反と歩調を合わせるようにだ。
農薬が使われなくなったから。

荒れ田の数が毎年のように増えていく。
そもそも圃場整備は多大な国家予算と農家の拠出金で、
「将来の大規模農業のために」と日本全国で行われた大工事だった。
その工事で春の小川が消え、あぜ道のサワオグルマやハッカ、ウツボグサなどの野草も姿を消した。
メダカやサワガニもいなくなった。
山里で大規模農業などしょせんたかがしれたこと。
うるおったのは土木業者のみだろう。
整然とした荒れ地を見るたびにやりきれない気持ちになる。

減反でホタルは増えたかもしれない。
夏の草いきれの中で咲いていたカワラナデシコやヤブカンゾウが荒れ地に戻ってくる日は来るだろうか。
ホタルが生きられないような国で人は生きられると、過信しないほうがいい。
命あるものすべては自然の中で連鎖しており、
人間だけが例外ではあり得ないのだから。
| 折々思う | 11:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
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